イオン環境財団「Future Earth」対話プロジェクト
イベント開催報告
はじめに
当研究所では、(公財)イオン環境財団からの支援を受け、Future Earth日本ハブと共に、2021~2023年度の3年計画で、日本として進んでいないSDGsターゲットの設定について、背景にある諸問題の科学的知見も伝えながら、若者世代を中心としたステークホルダーとの対話活動を行うプロジェクトを進めています。
本プロジェクトでは、SDGs17目標の中から、ゴール12「つくる責任 つかう責任」に焦点をあて、2021ー2022年度には5回の対話会合を開催し、それらの活動を踏まえた対話的プロセスおよびターゲット案を提言としてまとめ、2022年10月にSDGs推進本部円卓会議民間構成員主催のパートナーシップ会議に提出しました。
さらにこの提言の一部は、SDGs推進本部民間構成員からの提言に盛り込まれ、2023年3月、SDGs推進本部長である岸田内閣総理大臣に手交されました。
また、2023年9月24日には長崎県イオン時津ショッピングセンターにて、「地球の未来につながるお買いもの、わたしたちにできること」をテーマとし、イオン九州株式会社・長崎大学とも共同でイベントを開催しました。
当日のイベントの様子を紹介します。
第1部:サステナブルショッピングQ&A
第1部では、SDGsや地球環境に関する質問ボードを持った長崎大学の学生がショッピングセンター内をまわり、ご来場の方々にお声がけをし、質問に答えてもらいました。
さらに、興味を持っていただいた方には、セントラルコートに設置したパネル前にて、専門家より詳細な説明を聞いていただきました。
学生たちの中には、はじめから積極的に声掛けをできる子もいれば、緊張した面持ちの子も見られましたが、それぞれが一生懸命にお声がけをし、老若男女問わず、多くの方にお答えいただくことができました。
Q&Aボードでお声がけをする学生の様子
パネル前で詳細説明を行う様子
※使用したQ&Aボードおよび展示パネルは、ダウンロードしてご覧いただけます。
第2部:ステージイベント「ガレッジセールと考えるサステナブルショッピング」
第2部のステージイベントでは、MCをお笑い芸人・長崎亭キヨちゃんぽんさんにお願いし、ガレッジセールのお二人のコメントをいただきながら、和やかな雰囲気で、地球を取り巻く現状を伝えるとともに、参加いただいた皆さまとサステナブルショッピングについて考える機会を持ちました。
会場には事前に声がけをした高校生・大学生の他、一般の来場者も大勢立ち寄ってくださり、合計80名程の方が集まりました。
左からガレージセールのお二人、東京大学/国立環境研究所 江守正多氏、長崎大学/Future Earth日本ハブ ソク・サニー氏、一般社団法人SWiTCH 佐座マナ氏、イオン時津店店長 甲斐允弓氏
佐座さんからは、SDGsとは「地球ひとつでみんなが幸せに暮らしていくための目標」であり、「私たちのくらしは生態系がベースとなっている」と、分かりやすく説明がありました。
そのベースである自然を守るために、私たちにもできることがあるという力強いお言葉がありました。
江守さんからは「今年の夏はとても暑かったですよね?」というイントロダクションから始まり、気候変動の状況・今後の予測について、また、国際社会は気温上昇を1.5℃以内に抑えるためにどうしたらいいのかについて説明がありました。
ソクさんからは、社会の状況・流れをもとに生まれた、環境や社会に配慮した金融「サステナブルファイナンス」についての説明、また、脱炭素経営に取り組む長崎県内企業の好事例の紹介がありました。
また、長崎大学が推進している「プラネタリーヘルス」についても紹介がありました。
続いて、イオン時津店の店長である甲斐さんからは、サステナブルショッピングの目安になる「認証ラベル」の説明がありました。
認証ラベルは、商品やサービスが環境に配慮されたものであることを知らせるためのもので、公正・公平な第三者機関による厳格な審査を経て判断され、付けられています。
ガレッジセールのお二人にはジョークを交えながらも、一般の視点もよく捉えたコメントを随所に挟んでいただき、楽しく、地球のことを考えたお買いものに向けた情報共有ができました。
第2部後半では、サステナブルショッピングについて、対話形式で、会場の皆さんに質問をしました。
「環境のことを意識してお買いものをしていますか?」という質問に真っ先に手を挙げてくださった方からは、「小さい頃から海の恵みを身近にし、自給自足の生活を基本としている」というお言葉をいただいたり、「どこでどのように作られたものなのか、気にして選んでいますか?」という質問では、学生より「国内で作られた商品を買うようにしている」とか「安く売られているタオルが作られた背景を考えたことがあり、材料や労働力を気にしている」という声が挙がりました。
その後、江守さんより、本プロジェクトで昨年提言したSDGsゴール12のターゲット案について、分かりやすい形で伝えました。
※本プロジェクトが提言したSDGsゴール12のターゲット案は、こちら。
おわりに
最後に、登壇者の皆さまからコメントをいただきました。
・「今日の場だけで終わらないように、これからも情報発信に取り組みます!」(甲斐店長)
・「生態系を守るために、ぜひ周りの人に声をかけつつアクションを起こしましょう!」(佐座さん)
・「長崎大学は、地域の皆さんとのつながりをこれからも大事にしたいです!」(ソクさん)
・「個人にできることを大事にしつつ、でも、個人のアクションだけでは地球規模問題はとまらないので、興味を持ち続けて、一緒に考えていただきたい!」(江守さん)
・「地球は自分たちが住んでいる大きな家みたいなものなので、その環境が悪くなったら住みづらくなってしまう。いつか始めればいいやではなく、今からはじめたい!」(ガレッジセール・ゴリさん)
第2部後半では、サステナブルショッピングについて、対話形式で、会場の皆さんに質問をしました。第2部の様子は吉本興業のYouTubeチャンネルより生配信され、当日のライブ視聴者数は最大64名、アーカイブ動画は1600回を超える視聴がありました。
第2部参加者にいただいたアンケート結果は、こちらからご確認いただけます。
※本イベントは、長崎新聞(2023.9.29)でも紹介されました。
※英語での報告は、Future Earthウェブサイトに掲載しています。
番外編
イベント終了後には、参加いただいた学生の皆さんと専門家(江守さん、ソクさん、佐座さん、FutureEarth日本ハブ事務局長・春日さん、長崎大学・津留崎さんと近藤さん)との間での意見交換の時間を持ちました。
学生からもイベントでは聞けなかったたくさんの質問や意見が挙げられ、活発な意見交換の時間になりました。
あとがき
本イベント開催にあたり、共催・協力機関の皆さまをはじめ、多くの方のご協力をいただきました。まさに、異なる立場の皆さまとの協働で作り上げた場になったと思います。
個人的には、ガレッジセール・ゴリさんの最後の言葉が心に残り、買いものをする際、家庭のお財布と地球環境バランスを考えつつ、商品一つ一つを吟味しながら、選ぶようになりました。
“Think Globally, Act Locally. Think Locally, Act Globally”
ご協力いただきました皆さま、ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。(終)
[掲載日:2023年11月14日]
取材、構成、文・神志那 ゆり(対話オフィス)
参考関連リンク
●イオン環境財団「Future Earth」対話プロジェクト「若手世代と考える 2030 年の未来像・日本の現状・SDGs ゴール 12 のターゲット案」(外部リンク/PDF)
https://www.japan.coop/wp/wp-content/uploads/2022/10/0d4622169a70ed14fe12c13a51de2985.pdf
●SDGs推進円卓会議 民間構成員「SDGs 実施指針の改定へ向けた提言」(外部リンク/PDF)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100480582.pdf
●外務省「SDGs推進円卓会議民間構成員による岸田総理大臣への提言書の手交」(外部リンク)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/gic/page1_001531.html
●Future Earth「Scientific Dialogue: How Can We Shop Sustainably?」(外部リンク/英語)
https://futureearth.org/2023/10/27/scientific-dialogue-how-can-we-shop-sustainably/