11/10(火)オンラインセミナー
「『気候危機withコロナ』-その先にある未来のカタチは?」
社会対話・協働推進オフィス(対話オフィス)は、11/10(火)17時半から、オンラインセミナー「『気候危機withコロナ』-その先にある未来のカタチは?」を開催します。
※セミナーは終了しました。
当日の様子は、動画のアーカイブ(YouTube、約1時間36分)からご覧いただけます。
セミナーのポスター
気候危機とコロナ危機。今世界を襲っているこの2つの危機から、私たちが学ぶべき教訓は何でしょうか。
また、この危機をどのように乗り越え、どんな社会へと移行していくべきなのでしょうか。
ポストコロナの議論は盛んにおこなわれていますが、本イベントではそれらを整理したうえで、これからの未来のカタチを、視聴者の皆さんからの意見をお聞きしつつパネリストと一緒に考えます。
どなたでも無料で参加できます。みんなが納得できる未来のあり方を、一緒に考えませんか?
パネリスト
環境問題や社会問題に関わる所外からのゲスト2名と、国立環境研究所の理事長ほか、環境研究の様々な分野から研究者をパネリストに迎えます。
所外からのゲスト
枝廣 淳子 環境ジャーナリスト
大学院大学至善館教授、幸せ経済社会研究所所長、有限会社イーズ代表取締役ほか
『不都合な真実』(アル・ゴア氏著)の翻訳をはじめ、環境問題に関する講演、執筆、CSRコンサルティングを行い、異業種勉強会や幸せ経済社会研究所を主宰。GDPだけでは測れない地域の幸せを高める取り組みや新しい経済・社会のあり方、レジリエンス(しなやかな強さ)を高めるための考え方や事例等、「伝えること」で変化を創り、「つながり」と「対話」でしなやかに強く、幸せな未来の共創をめざす。現在は島根県隠岐諸島の海士町や熊本県の南小国町、北海道の下川町等、意志ある未来を描く地方創生のプロジェクトにアドバイザーとしてかかわっている。
能條 桃子 大学生
一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN代表理事、慶應義塾大学経済学部4年
若い世代の政治参加をもっと身近で当たり前のものにすることを目的に、デンマーク留学中であった2019年7月参議院議員選挙をきっかけにInstagramを中心としたSNSメディア「NO YOUTH NO JAPAN」を立ち上げ。若者が声を届け、その声が響く社会を目指し、高校生から社会人のメンバー60名で活動。気候変動とジェンダーに強い関心がある。
国立環境研究所から
渡辺 知保 人類生態学
理事長
亀山 康子 国際関係論
社会環境システム研究センター長
西廣 淳 生態学
気候変動適応センター気候変動影響観測・監視研究室室長
江守 正多 気候変動
社会対話・協働推進オフィス代表 ※進行
イベントの詳細 ※イベントは終了しました。
日時
2020年11月10日(火) 17:30~19:00
参加方法
①事前登録でZoomウェビナーに参加 ★こちらでの参加がお勧め!
・定員100名。視聴無料。申し込み締め切り11/8(日)
・チャットで意見を書き込んだり、投票に参加できます。
登録はこちら→https://bit.ly/3k3kOEO(外部リンク)
②YouTube配信の視聴
・事前登録なし。
・意見の書き込みや投票はできません。
視聴はこちら→国立環境研究所公式YouTubeチャンネル(外部リンク)
※配信日時までに本イベントのチャンネルが表示されます。
お問い合わせ
社会対話・協働推進オフィス taiwa-office@nies.go.jp
ミニコラム
本イベントの開催につながった所内の議論を紹介します。
ポストコロナを見すえ研究者らが議論-
「気候危機とコロナ危機に関する所内意見交換会」
きっかけとなったのは、2020年5月に当研究所で行われた『気候危機とコロナ危機についての所内公開意見交換会』でした。
この際に、ポストコロナを見すえた新しい社会を考えるにあたり、特に①都市一極集中をどうするか、②グローバル経済をどうするか、③自然との距離をどうするか、の3点が重要だとの認識が共有されました。
本イベントでは、この3点も念頭に置いたうえで、新しい社会へと移行していくときにどんな問題に配慮すべきであり、どうすれば人々が自発的に「そうしたい」と受け入れられるのか、社会の要望を聞きながらともに考えることを目的としています。
本イベントの参考に、所内意見交換会の議論の一部をここでご紹介します。
1.環境研究の立場から、どんな研究が大事か
長期的な視点でどんな研究を行い、議論を提起していくのか。具体的な研究テーマが挙がりました。
「感染症は人間と動物の接触から始まり、気候変動による生態系への影響から動物との接触が増えたことも、感染症が近年増えている原因の一つだと聞いた。今後、感染症を減らすことを考えるという観点で、気候変動と生態系への影響を考えるあらためて考えるとよい」
「コロナの影響で今こそ世の中が変わるような雰囲気だが、何もしなければ元に戻る気がする。具体的には、都市一極集中化、グローバル化、人と自然の距離感に的を絞った議論が急がれると感じる」
「この機会に東京一極集中のリスクやデメリットを強調し、地方分散型社会を実現することを考えたほうが良い」
複合リスクだからこそ、環境に関わる様々な研究分野が統合的に取り組むべきという意見もありました。
「生態系のかく乱や生物多様性の損失も、気候危機とコロナ危機につながっており、一緒に考えることでいろいろな人を議論に呼び込める。複合リスクだからこそ、それぞれの分野の科学的知見を統合して考えることが必要」
「これまで行っている各分野での環境問題解決に向けた提案があるので、これらの提案が、社会変化やハザードが生じたときに成り立つのかを確認する方向で研究を計画、設計することを考えてもよい」
「環境問題だけを主軸に置くのではなく、トータルで人にいい効果をもたらすものは何かを考えてやっていく。環境研究所の強みはいろいろな分野の人が集まっていること。俯瞰して見てみるのがよい」
2.研究所/者が社会に何を伝えるのか
ポストコロナに向けて、研究所が社会にどんなメッセージを発信するのか、あるいはどう伝えるべきなのか。人々に生活や行動の変容を促すという観点では、次のような意見がありました。
「コロナ禍で生活様式を変えざるを得なくなっているが、強制では長続きしないので、この機会に「選びたい」と思えるような選択肢を増やすのが大事」
「行動変容を促すにはタイミングも大事。最初は、感染症対策と気候変動対策が共通便益を持つ項目を前面に出し、議論しながら徐々に、従来の産業構造の改変等の議論を始めるなど」
「コロナのリスクを減らすことが、結果としてCO2を減らすというような情報発信をしていくのがよいと思う」
コロナ禍では環境にとってプラスの副産物もありました。しかし、環境問題の解決には”辛抱“が必要だというメッセージにならないよう注意すべきという意見も。
「こんなに経済や社会がダメージを受けないと、やっぱり環境負荷は低減できないのだ、というメッセージにならないようにしたい。また、コロナで大きな影響を受けている人々を不用意に刺激しない十分な配慮も必要だと思う」
「コロナでダメージを受けて、いま取り残されつつある人をないがしろにしてgreen stimulus(緑の景気刺激策)を進めようとしてはいけない」
どんな社会が望ましいか、誰もが納得できる社会を作れるかは、科学だけでは決められません。当然ながら、このような意見も出ました。
「コロナの後に、どんな社会を目指すのか。いろいろな立場の人が一緒に議論しつつ、そこに役立つような形で科学的知見を提供できれば」
本イベントが、社会の要望をお聞きするとともに、ともに未来を考えるよい機会となることを願っています。
多くの皆様の参加をお待ちしています!
[掲載日:2020年10月27日]
取材、構成、文・岩崎 茜(対話オフィス)
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