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ガソリン暫定税率の廃止でCO2排出量が610万トン増加するとの試算は、過大評価では?


Q.ガソリンなどの暫定税率が廃止された場合、二酸化炭素の排出量が610万トン増加するとの試算があるようですが、過大評価ではないでしょうか?大半の国民は、ガソリンが安くなったからといって、急に移動距離を増やすことはないと思います。


回答:社会システム領域 増井利彦領域長(2025年9月16日)

A. ガソリンや軽油の暫定税率が廃止された場合、2030年の国内の二酸化炭素(CO2)排出量が610万トン増加するという試算を行いました。

まず、今すぐという短期を考えてみます。暫定税率が廃止されれば、家計(特に、車利用者)にとって負担軽減が見込まれますが、廃止されても、すぐに自動車の移動距離が変化しないというご指摘はその通りです(休みの日に自動車で遠出をしようという人が増える可能性もあります)。

一方で、数年といった長期を考えてみるとどうでしょうか。今使っている自動車もやがて買い換える時が来ます。そうした時に、ガソリンの値段が高ければ燃費のいいハイブリッド車にするけれども、ガソリンの値段が安いならハイブリッド車ではなく通常のガソリン車にしようといったことが生じ、結果的に移動距離が同じでも長期で見ると燃料消費量が増えてしまうことがあります。今回の試算では、そうした短期から長期のエネルギー価格と燃料消費量の関係を分析して、その結果を反映させています。これ以外にも、税金の支払いが減ることで、そのお金を別に使うことによるCO2排出量の変化も反映させています。

課税(税率が高くなり、燃料価格が上昇すること)による燃料消費量への影響については、「炭素税」に関する記事にまとめていますので、ご参照下さい(※注)。

なお、環境省は、新税も含めた代替策を講じる必要性があるとしており、長期的な視点で、環境への影響を踏まえた検討が必要と考えられています。


※注 国立環境研究所:ココが知りたい地球温暖化 #08「炭素税」は効果がある?
https://www.cger.nies.go.jp/publications/qa/m008.pdf

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