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バイオアッセイは、細菌の感染性の試験にも応用できるのでしょうか
Q.水道水が「カンピロバクター」に汚染されたとのニュースを見ました。バイオアッセイは、カンピロバクターのような細菌にも応用できるのでしょうか。生物がカンピロバクターを摂取することで、何らか異常な影響が出る可能性はありますか?
回答:水道水質研究和光分室 浅見真理上級主席研究員、三浦尚之主幹研究員(2025年8月8日)
A.「バイオアッセイ」について、貴重なご質問をありがとうございました。「バイオアッセイ」と「感染性微生物(今回はカンピロバクター)」について説明します。
一般的に「バイオアッセイ」は、「既知の生物に化学物質等を与えて生物学的応答をみること」であり、実験室等で培養した細菌や魚類等の生物に濃度を変えて化学物質をばく露させ、どのような反応の違いがあるかを観察する方法をさすことが多いです。他にも、ヒトなどの生体試料を分析した結果を「バイオアッセイ」と呼ぶことがあります。細菌の人への感染性を確認することを「バイオアッセイ」と呼ぶことは少ないと思いますが、機構解明の試験の手法をそのように呼ぶこともあるようです。
一方「感染性微生物」についてですが、環境中、水道水中のカンピロバクターは、それ自体がヒトに対して病原性をもっています。しかし、病原性があるかどうかは、対象の生物によって異なります。
カンピロバクターは、感染する生物に対しては病原微生物ですが、それ以外の生物に対しては特に異常行動や異常現象を発生することはないと考えられる細菌です。ヒトに対して食中毒を引き起こすカンピロバクター・ジェジュニやカンピロバクター・コリという種類は、牛や鶏の腸内に存在する細菌で、一般的にヒト以外の動物では障害を起こしません。※注1
他方、例えばカンピロバクター・フェタスという種類は、牛に繁殖障害を引き起こすことが知られています。※注2
※注1 農林水産省:カンピロバクターの説明(特に動物内では普通に存在)
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/pdf/campylobacter.pdf
※注2 農研機構:カンピロバクターの種類や動物による障害の違いの例
https://www.naro.go.jp/laboratory/niah/disease_fact/todoke/151868.html
https://www.naro.go.jp/laboratory/niah/disease_dictionary/todoke/152176.html