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柔軟剤や洗剤などの香料、VOC成分の大気における影響は?
Q.最近、市街地や住宅地、室内外などさまざまな場所で、香料が臭いとの話を聞きます。柔軟剤や洗剤など、家庭用品から排出される香料やVOC(揮発性有機化合物)成分の大気での影響について教えてください。
環境計測研究センターの複数の研究者に話を聞き、対話オフィスが回答(2018年5月24日)
A. 一般的には、香料として使用されている多くのVOC(揮発性有機化合物)は植物由来の天然VOCだそうです。天然VOCは多種類かつ大量に、大気に含まれていることが様々な調査で示されており、種類によっては自動車排ガスや事業所排出など、人為由来の人造VOCよりも多い、とのことです。
ただ、ある研究者は「ベンゼン、トルエンなどの人造VOCの毒性については長い研究の蓄積があるが、天然VOCに有害性があると認識されることは少ないか、または、健康に良いと受け止める傾向が強く、研究報告は少ない」と話しています。
また「大気中の天然VOCが、自然の植物から直接排出されたものか、家庭用品の香料に由来するものかを区別することはできないと思います」とも言います。
一方で、別の研究者からは、「香料に対する苦情には注目している」という意見が聞かれました。この研究者は、柔軟剤や洗剤の匂いがつらいと訴える香気アレルギーの方から「最近、街中に匂いがあふれていて生活にも困る」「自分で使うものは、まだ選べるが、他人からの匂いはどうにもできない」「何でもない人には分かってもらえない」という悩みを聞いた、と言います。
香料被害については、下記の参考資料(※注1)の紹介を受けましたので、ご覧下さい。
また、海外の研究事例を紹介してくれた研究者もいました。
この事例は、今年2月の科学雑誌サイエンス誌に掲載された、香料などに起因する大気汚染の論文(※注2)で、この論文では、香料を含む家庭用品に由来するVOCの放出量は都市域のVOC放出量の約半分とかなり大きい、と指摘しています。
この研究者は「自動車の排ガスなどがクリーンになってきて、家庭用品の重要性が相対的に増しているようだ」と話しています。
※注1
・環境省「におい・かおりについて」はこちら(外部リンク)
・静岡県調査「ちょっと気になる柔軟剤の香り成分」はこちら(外部リンク/PDF)
※注2 紹介している論文はこちら(外部リンク/英語)