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気温上昇を1.5℃に抑えるために残された二酸化炭素の排出量は?
Q.気温上昇を2℃に抑えるために残された排出量(カーボンバジェット)の計算精度を高めた報告を読みました。1.5℃目標の場合には何トンと考えればよいですか?
回答:地球システム領域 横畠 徳太 主幹研究員、MELNIKOVA Irina 特別研究員(2026年3月12日)
A. 該当の研究論文では、産業革命前からの気温上昇を2℃に抑えるための説明を、以下のように記載しています。
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産業革命前からの気温上昇を2℃に抑えるために残された排出量は、約4600億トン(炭素換算)であると結論づけました。これは、モデル予測に基づく従来の推定値 (3520億トン)より大きな値になります。しかしながら、現在の全世界の人為起源二酸化炭素排出量が年110億トン程度であることを考えると、気温上昇を2℃に抑えるために残された二酸化炭素排出量は、非常に少ないことがわかります。
気温上昇を2℃ 未満に抑えるための2020年時点での「残余炭素予算」の予測は、これまでの研究(観測との一致度を考慮しない)では、炭素換算で3520億トン(予測の幅は 20-7020 億トン)と、大きな予測の幅=不確実性がありました。当研究グループの分析によって、地球システムモデルと観測との一致度を考慮することにより、2020年時点で残余炭素予算の推定値は 4590億トン(予測の幅は2510-6660億トン)と予測の幅が減り、予測精度を大きく向上させることができました(注,図1)。
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これを、「1.5℃に抑えるため」で書き換えると、以下のようになります。論文でも記載していなかったので、数値を計算してみました。
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産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えるために残された排出量は、約1990億トン(炭素換算)程度であると結論づけました。これは、モデル予測に基づく従来の推定値 (1360億トン程度)より大きな値になります。しかしながら、現在の全世界の人為起源二酸化炭素排出量が年110億トン程度であることを考えると、気温上昇を1.5℃に抑えるために残された二酸化炭素排出量は、非常に少ないことがわかります。
気温上昇を1.5℃ 未満に抑えるための2020年時点での「残余炭素予算」の予測は、これまでの研究(観測との一致度を考慮しない)では、炭素換算で1360億トン(予測の幅は マイナス14-2740 億トン)と、大きな予測の幅=不確実性がありました。当研究グループの分析によって、地球システムモデルと観測との一致度を考慮することにより、2020年時点で残余炭素予算の推定値は 1990億トン(予測の幅は1020-2970億トン)と予測の幅が減り、予測精度を大きく向上させることができました。
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2℃の場合と傾向は同じ、私たちの計算で精度が高まっています。また、2℃の場合と比べて、残された排出量が、より少なくなる結果になっています。
※注 気候変動の抑制に向けて:将来の温暖化とこれから排出できる二酸化炭素量の予測信頼性を高める
https://www.nies.go.jp/whatsnew/2025/20251206/20251206.html



