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これまでの活動

国環研・公開シンポジウム2026にて、カーボンニュートラルについてみなさんのご意見を伺いました

シールアンケート


 私たち社会対話・協働推進オフィス(対話オフィス)が、多くの方と対話できる絶好の機会ということで、2026年7月20日に開催された国立環境研究所・公開シンポジウムのブースコーナーに出展して、次のテーマでシールアンケートを行いました。


聞かせてください!「2050カーボンニュートラル、私はこれ!               これならば協力できる!期待したい!応援したい!」

 2050年のカーボンニュートラル目標の実現に向けて、何が多くの方の心に刺さるのでしょうか。「物価高だから厳しい…、自分だけがやっても仕方ない…、難しくてよく分からない…」という声が聞こえてきそうですが、実は「身一つ、スマホ一つでできる、ゆるいアクション」があるのです。

 次に挙げた項目に対して、「私もこれならできる!」という、それぞれの“感覚”に近いものにシールを貼っていただきました。


 シールの項目は次の8つです。

 ① SNSで正しい情報を応援したい

 ② 再エネを正しく導入してほしい

 ③ 新しい技術(CO2除去等)の登場に期待したい

 ④ 気候市民会議など自治体のまちづくりに期待したい

 ⑤ 学校で正しい知識を教えてほしい

 ⑥ 自然生態系との両立を応援したい

 ⑦ 選挙では、気候変動対策を公約に挙げている候補者に投票を検討したい

 ⑧ 街角で言いたい、国会の前で訴えたい

     (以下、各項目を述べる際は、下線のワードで表します)


 ~シールの貼り方~

 本ブースを訪れてくださった方に、お一人何枚貼っていただいてもOKとご説明しました。シールの色が年代別(10代以下…赤、20-30代…青、40-50代…黄、60代以上…緑)となるよう、ご協力いただきました。また、上の8項目にないアイデアや、ご意見がある場合は付箋に書いていただきました。


カーボンニュートラルとは?
地球温暖化の原因物質となる温室効果ガスの排出を、2050年までに「全体としてゼロにする」という目標が2020年10月に日本政府より宣言されました。「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする、人間の活動によって出された温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。詳しくは…環境省 脱炭素ポータル(外部リンク)


気候市民会議とは?
無作為に抽出された市民が全6回程度の会合に参加し、科学的知見を得て、対話と熟慮と投票を繰り返し、気候変動対策をまとめ、提言するもの。詳しくは…国立環境研究所 国環研View、つくば市で開催された例は(参考1)へ


シール枚数集計結果と、コミュニケーターとの対話


<結果>

ステージの写真

当日、シールを貼っていただいたボード。次のグラフは2枚を合わせた集計結果です。



ステージの写真

国環研・公開シンポジウム2026のブース出展にて、対話オフィスが行ったシールアンケートのシール枚数の集計結果



 ・お一人あたり2-3枚貼ってくださった印象であり、全部で50人ほどの方が本企画に参加してくださいました(正確なカウントはしていません)。


 ・⑥自然生態系との両立を気にされる方が最も多く、次いで⑤学校での知識、ほぼ同数で③新しい技術への期待、が続きました。


 ・当日の公開シンポジウムの講演内容とリンクして、「学校教育は大事」と口頭で話されながら、⑤学校での知識にシールを貼られる方が複数いらっしゃいました。


 ・⑥自然生態系との両立にシールを貼られる際には、②再エネにも貼られる方が複数いらっしゃいました。


 ・若年層、例えば赤色と青色のシールを貼られた30代以下の方々では、最も多かったのは⑥自然生態系との両立で、次いで①SNSと③新しい技術でした。少なかったのは②再エネ、④自治体、⑦選挙でした。全世代と異なる傾向としては、①SNSが比較的多かったことが挙げられます。



<コミュニケーターとの対話>

 〇シールを貼りだすと「あれもこれも大事、全部大事だな」と、どんどんシールを追加して貼られる方が複数いらっしゃいました。間違いの項目はなく、いずれも大切な視点であるという対話を続けることができました。


 〇本企画の趣旨について、「応援するだけでいいのですね!」と笑顔でリアクションしてくださる方もいました。カーボンニュートラルに向けた取組というと「我慢」というネガティブなイメージが抱かれがちですが、応援するだけでも、みなさんの気持ちが世論を後押しし、変化の勢いを生み出す力になるのではないかと筆者は考えています。社会変容が起こる際には、前向きに捉えることが重要なのかもしれないと、対話を通して改めて感じることができました。


 〇③新しい技術にシールを貼られた方々の多くも笑顔だったことが印象的でした。カーボンニュートラルへの対応に取り組むことは新たなチャンスである、と語られることが多くありますが、その期待感が表れた様子であったと筆者は思いました。


 〇「技術も社会も経済も、それぞれ考える必要がある」と話される方がいらっしゃいました。分野横断的な検討が必要となる場面では、対話が重要になることを改めて認識するようなお話ができました。


 〇メーカーで研究開発をされている方より、ホルムズ海峡封鎖の影響についてお話を伺うことができました。石油由来の製品を扱っており、製造現場では遅延が発生しないよう対応に苦慮されたとのこと。現在は、植物由来の原料への切り替えも検討を進めているそう。社会がカーボンニュートラルとは別の要因によって変わるときに、それに乗ってカーボンニュートラルへと行動や技術も変わっていく一例であると、筆者は感じました。


 〇④自治体のまちづくりに関して、「気候市民会議とは何か?」と尋ねられることが複数回ありました。2023年につくば市で開催された「気候市民会議つくば」の例(参考1)をご紹介すると、「知らなかった」と反応されながらも好意的なご意見を伺うことができました。まだ十分に知られておらず、もったいない状況であると感じました。


 〇「カーボンニュートラルとは何か?」と質問されることはありませんでした。国環研のシンポジウムに来場された方々であるため皆さま既にご存知だったのかもしれませんが、広く認知されているのだと、筆者は実感しました。


付箋での自由意見


<ご意見の概要>

 (i)「街の緑を、生物多様性に配慮しつつ広げたい」

 (ii)「NPとCNの両立に向けた技術開発」

 (iii)「ゴミの分別の細分化」

 (iv)「新しい技術はもっと普及してほしいが、費用面で懸念されてしまうのがもったいない」

 (v)「サイエンスコミュニケーションの領域だと思う」

 (vi)「若い世代と一緒に正しく理解」


<自由意見に対しての、コミュニケーターの感想>

 ・(i)(ii)(iii)に関して・・・

 シールの方でも⑥自然生態系との両立と②再エネをセットで選ばれた方が多数いらっしゃったように、脱炭素(カーボンニュートラル(Carbon Neutral=CN))と自然再興(ネイチャーポジティブ(Nature Positive=NP)は一緒に取り組むと相乗効果(シナジー)をうむことが多くあります。国環研の研究プログラムでは、それに資源循環(サーキュラーエコノミー(Circular Economy=CE)を合わせてCN×NP×CEで解決を目指す研究にも取り組んでいます(参考2)。


<ネイチャーポジティブとは?>
「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させること」。2023年3月に閣議決定された「生物多様性国家戦略2023-2030」に、2030年ミッションとして掲げられた目標です。詳しくは…国立環境研究所 A-PLAT


 ・(iv)に関して・・・

 太陽光パネルのように、普及が進むことで価格が低下し、導入しやすくなったものもありますが、そうでない例も少なくありません。こうした技術に対しては、社会的なメリットが大きいものへの補助金の導入や、カーボンプライシング(参考3)のような制度によって競争力が高まり、普及が促進されることが期待されます。


 ・(v)に関して・・・

 カーボンニュートラルが達成されるための社会変容を後押しするような世論が形成される過程にて、シール項目の①~⑧のような行動や応援、期待が、人々の日常会話の中で「それって当たり前だよね」と自然に語られるようになることも、サイエンスコミュニケーションの一つの姿なのかもしれないと筆者は思います。また、今回シールを貼りながら来場者の方が対話オフィスのコミュニケーターと対話をした活動も、サイエンスコミュニケーションの実践の一例です。今後も、このような対話の機会を私たちより作っていけたらと思います。


 ・(vi)に関して・・・

 先のシールアンケート結果でも、若年層に注目した分析を述べました。その中で若い世代にとって入りやすいテーマと、入りにくそうなテーマがあることについて、一定の示唆がこのアンケートから得られたように思います。今回の結果を参考に、今後の若年層との対話活動や企画を検討していきたいです。



ステージの写真

当日に、コミュニケーターと対話をしながらシールを貼っていただいている様子


~おわりに~


 小学3年生くらいの男の子がブースを訪れました。カーボンニュートラルも、応援したいアイデアも知らないとのことです。そこで順番に説明をしていくと、⑥自然の箇所ですぐにシールを貼ってくれました。「自然は好きなの?」と聞いてみると「うん」と即答してくれました。

 気候変動の影響を大きく受けるのは次世代です。彼らのためにも、自然が残るカーボンニュートラルな未来を引き継いでいきたいと、筆者は感じました。



[掲載日:2026年9月3日]
企画、構成、文:
初塚 真己(国立環境研究所 企画部広報対話室 / 対話オフィス コミュニケーター)
清水 裕士(国立環境研究所 企画部広報対話室 / 対話オフィス コミュニケーター)
写真:
志賀 薫(国立環境研究所 企画部広報対話室 高度技能専門員)
初塚 真己



関連リンク

(参考1)つくば市 気候市民会議つくば
https://www.city.tsukuba.lg.jp/shisei/torikumi/kankyo/CAT/index.html

(参考2)国立環境研究所 脱炭素、資源循環、自然再興の早期実現に向けてシステムチェンジを加速する研究プログラム
https://www.nies.go.jp/research/programs/accelerating-systems-change.html

(参考3)国立環境研究所 ココが知りたい地球温暖化「カーボンプライシング」
https://cger.nies.go.jp/ja/library/qa/measure/q9


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