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これまでの活動

特別講座「どこよりも分かる!地球温暖化のほんとうのこと」実施報告

はじめに

 社会対話・協働推進オフィス(以下、対話オフィス)代表でもある、地球環境研究センターの江守正多・副センター長による子ども向け講座「どこよりも分かる!地球温暖化のほんとうのこと」が、はまぎんこども宇宙科学館(横浜)で8月に開かれました。

 小学3年~中学生まで約30人の子どもたちに“ガチ”で温暖化を伝え、一緒にこの問題を考えました。対話オフィスも、オリジナルのワークブックを用意するなど講座を支援。

 子どもたちが温暖化にしっかり向き合った90分間の様子を、写真とともにお伝えします。

当日の会場の写真

この日は“地球博士”として講義をする江守さん。
温暖化について研究者が子どもたちに直接伝える機会は、そう多くないかもしれません。

真剣なまなざしの子どもたち

 開催日の8/4(日)は夏休み前半であることから、自由研究で温暖化をテーマにしようと意気込む子どもたちも多数。

 一方で、「親が勝手に申し込んだ」という子もちらほら。それでも「興味はあるから」と、講座に対する姿勢はとっても前向きでした。

江守さんの話を真剣に聞く子供たちの写真

小学生ながらしっかりメモを取り話を聞く姿は真剣そのもの。「パリ協定」だけでなく「京都議定書」まで知っているという子も。

用意したワークブックを読んでいる子供の写真

講座の内容を、家に帰って見返したり、周りの人に伝えられるようにと、オリジナルのワークブックも用意しました。

地球温暖化が進むとどうなる?

 地球温暖化のしくみや原因について学んでから、温暖化が進むとどうなるか、に話は移りました。

 江守さんは、温暖化がこのまま進んで2100年には世界平均気温が4℃上昇する場合と、温暖化対策をして温度が1℃しか上昇しない場合の、2つのシミュレーション動画(※注1)を紹介しました。

 4℃上昇の動画で、世界地図が気温の上昇を表す赤やオレンジに染まっていくと、子どもたちから「うわぁ」という驚きの声がもれました。

2100年の世界の気温上昇について紹介する江守さんの写真

気温が4℃上昇する未来を紹介する江守さん。日本もオレンジ色になり暑くなることが分かると、「あぶな~」と子どもたちの声。

ワークブックに色鉛筆で色を塗る子供の写真

温暖化が進んだ未来を、ワークブックの世界地図に色を塗ることで実感。

 また、温暖化が進むと日本にはどのような影響があるのかをリアルに感じてもらうため、「2100年の天気予報」(※注2)という動画も見てもらいました。

 気温が4℃上昇した未来では、最高気温44.9℃(熊谷)を記録するなど全国的に“激暑”が深刻に。

 暑さによりコメの収穫量や品質が落ちたり、スーパー台風が上陸して大雨や高波による甚大な被害が出るなど、温暖化による様々な影響が映像で報じられています。

 81年後は遠いようですが、子どもたちが長生きすれば迎えることになる未来の一つの姿です。

※注1 ワークブックの塗り絵にも使った、シミュレーション動画はこちら(外部リンク)からご覧になれます。
※注2 「2100年の天気予報」はこちら(外部リンク)からご覧になれます。

温暖化をとめるために、将来何をする?

 将来、温暖化の影響がこれほど深刻にならないようにするために、何ができるのか?

 世界では『パリ協定』によって、気温上昇を産業革命前から2℃より十分低く、さらには1.5℃未満に抑えようという目標ができました。目標達成のためには、温暖化の原因であるCO2の排出を実質ゼロにすること、すなわち『脱炭素』の社会をつくることが必要です。

 対策として、CO2を吸収する森林を増やす、再生可能エネルギーで電気をつくるなどがあります。それらを可能にするために、社会の仕組みを変えることも必要です。

 そして未来には、いまはまだない新しい技術や考え方が生まれているかもしれません。

 講座の最後では、未来を担う子どもたちからアイデアを聞こうと、「将来〇〇になって、こんなことをする!」と、温暖化を止めるためにできることを考えてもらいました。

 子どもたちからは、政策を動かす「政治家になろうかな」、「サマージャンボを当てて再生可能エネルギーに投資する」とビッグな夢や、「二酸化炭素を袋に入れて地下に埋める」という具体的なアイデアも聞かれました。

子ども達の意見を聞いている江守さんの写真

子どもたちから出てくるアイデアに「それ、いいなー」と楽しそうに応じる江守さん。

 江守さんは最後に、「どうしたらいいのかは、大人もまだ考えている途中。色々考えて、もっとこうしたらいいんじゃないかと大人に言ってほしい。そして大人になって、温暖化を止めるすごいことをやってくれる人がこの場から出てくれたら、いいなと思います」と、希望を託しました。

世界で起こっている、気候変動対策を求める若者中心のストライキを説明する江守さんの写真

温暖化に関する若い世代のムーブメントとして、世界に広がる気候変動対策を求める学生ストライキも紹介しました。

参加者からの嬉しいメッセージ

 講座を終えて、参加者から次のような感想をもらいました。

「2100年の天気予報で地球温暖化が大変だということが分かった」

「博士の話が分かりやすくて、将来を考えられた」

「私がわからなかったことがたくさん解決し、とても楽しかった」

「知らなかったことを知れて、これからの工夫も考えられたから」

 子どもたちが、問題を知るだけでなく、未来に向けて自分はどうしたらいいかをしっかり考えてくれたことを、心強く感じました。(終)

[掲載日:2019年10月8日]
取材、構成、文・岩崎 茜(対話オフィス)

オリジナルワークブックのダウンロード

 講座で使用したワークブックは、こちらからダウンロードできます。ぜひご活用ください。

ワークブックの表紙の写真

↑画像をクリック↑

<ワークブックの組み立て方>
①ダウンロードしたPDFを、A3(またはA4)サイズで印刷する。
②オレンジのラインを山折りに、緑のラインを谷折りにする。ラインは、跡がつくようにしっかりと折る。
③ワークブックの真ん中、オレンジの点線部分をハサミ、またはカッターなどで切る(※作業の際は、お手元に十分にお気をつけください)。
④用紙を縦半分に折り(1ページ目と表紙、4ページ目と5ページ目の裏側がくっつくように)、両端を持ちながら、切れ目部分が開くように中央に向かって両側から押す。
⑤水色の表紙と裏表紙が表裏の本になるように整えたら、完成です。
※文字やグラフが用紙のギリギリまで配置されているため、「フチなし」での印刷がおすすめです。

<ワークブックの使い方>
・3ページ目の下半分は、塗り絵になっています。下にある動画の右側(対策をしない場合)を参考にして、赤、オレンジ、黄色で色を塗ってみましょう。
・6ページ目の下半分は、記入欄になります。自由な発想で考えを書いてみましょう。


参考関連リンク

●環境省「地球シミュレーター~RCP2.6と8.5比較◆CG◆」(外部リンク)
https://www.youtube.com/watch?v=Y5oMhfJ5N-A

●環境省「2100年の天気予報」(外部リンク)
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/2100weather/


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