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これまでの活動

これからの環境問題をどう考える?
パネルディスカッション『ポスト環境問題』開催報告

はじめに

 社会対話・協働推進オフィス(以下、対話オフィス)は、パネルディスカッション『ポスト環境問題』を、サイエンスコミュニケーションイベント「サイエンスアゴラ」の一企画として、11/10に開催しました。

 当日の登壇者は、次のみなさんです。
・上田壮一さん(一般社団法人Think the Earth理事/プロデューサー)
・入江遥斗さん(SDGs達成のための学生団体「50㎝.」代表/都立国立高校2年)
・中島なつ子さん(「ボルネオ保全学生グループ」大学生副代表/筑波大学生物資源学類2年)

 ファシリテーターは、江守正多・国立環境研究所地球環境研究センター副センター長/対話オフィス代表がつとめました。

 また会場では、「グラフィック・レコーディング」がライブで実施されました。

 グラフィックレコーディングとは、「議論内容を形にする=見える化する」こと。視覚化することで参加者の理解が深まり、議論の進行もより円滑になります。

 今回はこのグラフィックレコーディングも、一緒にご紹介していきます。

当日の会場の写真

当日の会場の様子。約50名の方が参加されました。

「環境」はオワコン?

 まず、江守さんが、「ポスト環境問題」というテーマの意味を説明しました。

 「1970年代ごろの公害、その後に環境問題が社会問題となった。国立環境研究所の前身は国立公害研究所だったが、1990年に国立環境研究所に名前が変わった。いまはその次に行こうとしている転換点なのではないか」

 江守さんは、環境について「みんなあんまり口にしなくなってきた気がする」と言います。

 例えば、環境問題を扱った雑誌「日経エコロジー」が、今年5月号から「日経ESG」に変わりました。ESGは、「環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governance)」の略です。

 また、朝日新聞社のイベント「地球環境フォーラム」が2016年に「地球会議」に名称変更。このイベント関係者は「環境という名前だとスポンサーが集まらない」と言っていました。

 「環境という言葉はそろそろあきられてきて、環境は『オワコン』、終わったコンテンツとの問題意識がある。あるいは、環境はOne of them、さまざまな問題のなかの一部と考えるのが主流化しているのではないか」

 では、公害問題、環境問題と、新たな潮流では、何が違うのでしょうか。

 「公害問題、環境問題で共通しているのは、行政の役割だろう。公害は行政が規制によって対策する。環境問題でも行政が指導をして、人々の『ごみの分別をがんばろう』などの行動にむすびつけている。

 一方、新しい流れの特徴は、人々の自発的なアクションではないか。行政に言われてではなく、社会をよくしたいと思い自ら行動を起こす人が増えている。

 トップダウンからボトムアップ、『やらされてる』感じから『自分たちのやる気でやってる』感じへの変化があるのではないか」

江守さんの写真

江守正多(国立環境研究所地球環境研究センター副センター長/対話オフィス代表)

 まとめると次のようになります。

1.環境問題が社会問題群の中の一部として、かつ他の問題群との相互関係の中で捉えられる。

2.環境問題を含む社会問題群の解決への取り組みが、行政からの要請によって「やらされる」のでなく、社会を良くしたいと願う主体の自発的なアクションとして行われる。

 「この動きを仮に『ポスト環境問題』と名付けた。この流れをどう呼べばいいか、我々はどうすべきかをみなさんと考えたい」と、江守さんは企画のねらいを説明しました。

グラフィックレコーディングの写真

グラフィックレコーディングで、江守さんの話をイラスト化したもの。

子どもたちから笑顔が消える、何とかしたい

 次は、パネリストの上田さんです。上田さんは、まずSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)について説明しました。

 SDGsは、「持続可能な社会」の実現のために、2030年までに達成すべき行動目標です。経済、社会、環境などさまざまな分野で17の目標、169のターゲットが設けられています。

 「SDGsでは、持続可能な開発において、経済、社会、環境の調和的発展を考慮している。経済成長を否定せず技術革新の力を使い、社会課題や環境問題を解決しようと提起している」

 SDGsは教育現場にも取り入れられるようになりました。文部科学省が学習指導要領を改訂し、学校の役割として、「持続可能社会の創り手の育成」を盛り込んだのです。

 上田さんが理事をつとめる一般社団法人Think the Earthは、2017年に学校と社会をつなぐプロジェクト「SDGs for School」をスタート。2018年5月に『未来を変える目標 SDGsアイデアブック』を発行し、全国300校に届けています。

上田さんの写真

上田壮一さん(一般社団法人Think the Earth理事/プロデューサー)

 先生たちとの活動のなかで聞いた次の言葉が心に残っていると、上田さんは言います。

 「小学校高学年くらいから子どもたちの笑顔が消えてしまう」

 本来、勉強は自分の器をひろげ、世界がひろがるなど、笑顔になるための豊かな話のはずなのに、勉強が試験のためになり、おもしろくないものに変わってしまう。

 しかし、SDGsを授業で使うことで、子どもたちが笑顔になるきっかけになったそうです。

 「子どもたちはSDGsを通して、未来のためにいまを学ぶおもしろさを獲得したのではないか。貧困や環境のことだけを学ぶのではなく、それを解決するための社会全体の方向を17の目標を道しるべにして考える、そのおもしろさです。

 SDGsはボトムアップでオープンな思想で作られたこともあり、全ての人に参加を呼びかけており、自発性をうながすソーシャル・デザインになっていると感じている」と上田さんは話します。

グラフィックレコーディングの写真

グラフィックレコーディングで描かれた、上田さんの話。

 活動を通して知り合った高校生たちのなかに、今日のパネリストの入江さんがいました。

 この高校生たちは、SDGsをより多くの人に伝えようと今年4月のアースデー東京に参加。その企画で、SDGsの映像(※注)を作ったのが入江さんです。

 入江さんのプレゼンの前に、その映像をご紹介します。

※注 入江さんが作成した映像はこちら(外部リンク)

身の回りからの「革命計画」を実行中!

 入江さんは「『ポスト環境問題』について考えたことを報告したい」と切り出しました。

 地球温暖化問題はSDGsの17の目標のうち、13番目(『気候変動に具体的な対策を』)で取り上げられています。

 一方で、途上国での発展のために、「貧困をなくそう」(1番目)、「飢餓をゼロに」(2番目)などの目標があり、「経済成長」(8番目)、「産業と技術革新」(9番目)などが掲げられ、「これらは温暖化対策を妨げる可能性もあるのではないか」。

 入江さんは「ここに環境と経済発展との対立が見えてくる。どちらを優先すべきなのか考えるのが、今日のテーマのひとつではないか」と言います。

 そして、「SDGsとデザインを使ってこれを解決できないか」と、デザインを学ぶため「グッドデザインアワード2018」に参加。審査員に突撃インタビューしたそうです。

 「これからの時代のグッドデザインは?」との質問への回答が、「独創的でインスピレーションあふれるアイデア」「目的への関連性が強い行動」だったとのこと。

 「目的に沿った強い行動」を強調された点が印象的で、SDGsの掲げる「持続可能性の実現」という目的が、これからのデザインでも必要であると感じた、と言います。

 次に紹介したのは、「どれくらいの高校生がSDGsを知っているのか」というアンケート。全国の高校生を対象に実施し、1277人から回答を得ました。

 ある学校では、「SDGsを知っていますか」という問いに対して、1年生だけが極端に多かった(上級生に対して2倍)。1年生は環境への関心も高く、調べると、SDGsの授業を受けていたのでした。

 「学習指導要領が変わっていくにつれて、こうやって教育も変わっていくのではないか」と言います。

入江さんの写真

入江遥斗さん(SDGs達成のための学生団体「50㎝.」代表/都立国立高校2年)

 そして最後に、入江さんが代表をつとめる学生団体「50㎝.」の活動を紹介しました。「50㎝.」は、自分の周囲の半径50㎝から社会を変えようという意味。

 そのことを思いついたのは、「全員が(アップル創業者の)スティーブ・ジョブズになる必要はない。必要なのはチェンジメーカーだ」という、ある経産省の人の言葉だったと言います。

 「革新的なことよりも、自分たちのまわりの小さいところから変えていくことが大事ではないか。そう考えると、何かができるように思った」

グラフィックレコーディングの写真

グラフィックレコーディングで描かれた、入江さんの話。

暮らしのなかにSDGsを取り入れたい

 最後に、中島さんはボルネオ島の熱帯雨林問題を紹介しました。

 ボルネオ島はアブラヤシ農園が増え、生物多様性の宝庫である熱帯雨林が50年間で約50%減少。アブラヤシから採れるパーム油(植物油)は食品用に加工しやすく生産量が増加したためです。

 パーム油はカップラーメンやチョコレートなど身近な食品によく使われています。

 中島さんは「ボルネオにのみ生息する貴重な動物が多く危機にさらされている」と指摘します。

 一方で、パーム油による収入が地元の経済を支え、多くの雇用を生み出しています。

 ボルネオ島のスタディ・ツアーの経験で、中島さんは、自然保護と経済開発との関係の複雑さを目の当たりにした、と言います。

 「最初に渡航した高2の冬。ボルネオの学生たちと熱帯雨林保護などについて、議論する気満々だった」。

 ところが、現地の学生の暮らしが、アブラヤシ農園などによる産業で支えられている状況を実感し、「彼らに対して、『自然を守ろう、経済的豊かさより大切なものがあるはず』などと簡単には言い出せず、モヤモヤとした気持ちが残った」と言います。

 「あの時のモヤモヤ感を晴らすため、今年は企画者としてツアーに参加しました」

 今年のツアーでは、熱帯雨林の現状などを見学して、中高生は、最終日に涙を流して、「自分が今まで何も知らなかったことがくやしいと言い、何かしていきたいと訴えていた」と言います。

 その姿を見て、「自分の目で知ること、感じること」の意義を実感したと中島さん。帰国後にはシンポジウムなどのイベント活動にも取り組んでいるとのことです。

中島さんの写真

中島なつ子さん(「ボルネオ保全学生グループ」大学生副代表/筑波大学生物資源学類2年)

 そして、「ポスト環境問題」については、「私の興味がボルネオから日本の地方に移っている」とのこと。

 過疎化が進むなか、持続可能な暮らしをするための新しい取り組みが多くある。そこを訪ね学んでいるそうです。

 ただし、興味の対象は変わったものの、「実は、本質は変わっていない」と言います。

 「大量生産、大量消費という都市の生活が、本当に幸せなのかと考えている。(自然を守らなければ、というような)使命感で行動するよりも、幸せな暮らしとは自分にとって何だろうというマインドで活動する方が楽しいのではないか。

 模索するなかで、持続可能というキーワードを入れていきたい」

グラフィックレコーディングの写真

グラフィックレコーディングで描かれた、中島さんの話。

「ポスト環境問題」をあらわす数々の言葉

 プレゼンテーションの次に、会場の参加者に「ポスト環境問題」をあらわす言葉を考えてもらい、それぞれ書いたものを掲げてもらいました。

各々が考えた「ポスト環境問題」をあらわす言葉を頭上に掲げるの参加者の写真

自分が思う「ポスト環境問題」をあらわす言葉を頭上に掲げるの参加者のみなさん。

 そして、各パネリストが参加者の中から注目した言葉を選び、どうしてその言葉を書いたのかを説明してもらいました。

 まず、上田さんが選んだのは、こちら。

「公害、環境の次は?本当の豊かさだと思う」と書かれたある参加者の回答

「対立関係にある、環境保護と経済発展の両にらみをしていくとき、包括して考えるのがいいのではないか」(20代、女性)

上田さん:豊かさに、『本当の』、とつけられたのがポイントかと思う。豊かさはお金を意味しがちだが、それがどう変わっていくかという点に関心がある。

江守さん:『国立本当の豊かさ研究所』という名称は、結構いいかもしれない。

 次に、中島さんが選んだのはこちら。

「公害、環境の次は?価値観だと思う」と書かれたある参加者の回答

「人の考えはそれぞれ違う。一般的には、一生懸命働く、それが正しいと思ってる。しかし、逆のパターンもあると思う。そういう点に気づきがあると、身近なところが変わっていくのではないか」(40代、男性)

中島さん:自分と相手の違いってなかなか気づけないと思うが、異なる価値観を認め合えたらみんなで楽しく暮らしていけるのではないかなと思う。

 そして、入江さんが選んだのがこちら。

「公害、環境の次は?都市解体だと思う」と書かれたある参加者の回答

「都市にエネルギーを使いすぎている。長野県在住だが、農村での暮らしぶりは都会とまったく違う。地方の人たちの思いをもっとくみ上げるべきだ。

 また、地震など災害の時に備え、より分散した方がいいとも思った」(40代、男性)

入江さん:「『誰も置き去りにしない』というのがSDGsのキーワードが、海外だけでなく日本の地方にもあてはまると痛感した」

 江守さんが選択したのは、こちら。

「公害、環境の次は?ESRTH(明日)問題だと思う」と書かれたある参加者の回答

「ポスト環境問題の新しい特徴として、人が自発的に行動をし始めたとのこと。生物の本能として、自分の子孫が住む場所を守らなければいけないという義務感で、自発的に行動しているのかなと思った。

 なるべくポジティブにしたくて、未来を考えるという意味で、この名前にした」(20代、女性)

 この後、江守さんが「自分の言葉をアピールしたい方」を募ったところ、こんな意見も出ました。

「公害、環境の次は?リスクと想像力だと思う」と書かれたある参加者の回答

「公害、環境、とくると、次はリスクがくる。さらに、想像力を持たなければ、リスクに対応できないので、この二つを組み合わせた」(50代、男性)

 ご紹介した5つの言葉を含め、参加者の方が考えた「ポスト環境問題」をあらわす言葉は、こちらをご覧ください。

「ポスト環境問題」をあらわす言葉のリスト

会場からの質問を通して、一緒に考える

 「ポスト環境問題」をあらわす言葉の提案はここでひと区切りとして、パネリストと参加者とのディスカッションに移りました。

ボルネオ島中高生スタディ・ツアーに参加した学生で、行動に移すほどの情熱が得られなかった場合、どうサポートするのか?

中島さん:ボルネオ島では心が動いていても、日本に帰って、経験を親や友達に話したとき、温度差を感じて行き詰ってしまうという子は結構いる。

 私自身、高2の冬に渡航し、すぐに高3の受験で、すぐに動き出せないままでいた。でも、大学生になり、このツアーが続いていて、ツアー企画の機会をもらい参加できた。

 無理に引き込むというよりは、すぐに行動に移せない人でも、いつでも戻ってこられる団体であればいいのではないかと思う。

上田さん:中高生たちが、現地の一次情報に触れることは決定的な心の動きをもたらすと思うが、それが行動につながるか、というと確かに難しい。

 今年のツアーには私も参加したが、中島さんが自らの経験を活かして旅のデザインをした。旅の途中、バスで7時間かけて移動する際、子どもたち全員がしゃべる機会を中島さんは作った。

 「自分の意見を話す」のもひとつの行動。自分の声を聞いてもらえる場があったことで、行動する勇気が得られたのではないか。すばらしい旅のデザインだと感じた。

持続可能性を考える時、「経済成長は続けなければいけないのか」との想いが浮かぶ。一方、子孫を残すという自然な気持ちがあり、人口増加につながる。持続可能性と生き物としての欲求のバランスはどう考えるか?

入江さん:先進国は発展ではなく、成熟、よりよい衰退、というサイクルができていけばいいと考える。

 一方で、発展途上国の方はこれから経済発展を実現していく段階。国をひとつの生命として考えると、年齢差があるのではないか。

 日本は、成熟し、これからは、衰退してくるところに差し掛かっている。

 それを発展という、上に伸びていく定規だけではなく、定規を下向きにうまく向け、評価の尺度を変え、SDGsの目標のなかにも組み込めるのではないか。

先進国と途上国は、どのようなコミュニケーションをするべきだと考えるか?

入江さん:私たちが取り組むことができるのは、歴史だと思う。例えば、日本では高度経済成長に伴って公害に悩んだ経験がある。

 先進国側の歴史、特に負の歴史、誤った道について警告し、道を踏み外さないように伝えるのが、先進国の使命だ。

江守さん:先進国の衰退は考えるべきだと思うが、同時にAIなどのテクノロジーが社会に入り、ある意味での進歩は嫌でも続く。

 その場合の発展は、物質的な成長を止めたり、あるいは小さくすることを、同時に考えるのが必要で、その際も、テクノロジーとうまくつきあっていくことになると思う。

「ポスト環境問題」では様々な立場の人がおり、反発や分断の可能性がある。立場の異なる人たちは、どうすれば手を携えられるか、若い2人の考えを聞きたい。

中島さん:ボルネオ島のパーム油プランテーション問題でも、地元の人でも、考えは違っていて、どう協働していくのかというのは、難しい問題だと思う。

 しかし、SDGsが、いい目標になっているのではないか。人々がそれぞれの理想像を押し付けあうのではなく、地球資源が限られている中で、みんなで持続的な社会を目指すとの目標を共有できる。

 この視点が、立場が違う人が協働していくうえで重要だ。

入江さん:対立、分断は自然発生的に起こると思うが、SDGsを軸に対話し考えていくことが必要なのではないかと思う。

 先進国と発展途上国の関係でも、先進国が経験していた歴史を共有し、新しい対話を作り出していくことが必要だ。

パネリストが考える「ポスト環境問題」とは?

 「ポスト環境問題」をあらわす言葉は、3人のパネリストにも発表してもらいました。

 入江さんは、「アイデアの多様性」を提案しました。

入江さんが考えた「ポスト環境問題」をあらわす言葉を掲げている写真

「参加者のみなさんが提案された言葉を見たとき、多種多様だと思った。多様な価値観によって、明日を創造していくということが、今後の社会で回っていくといいと考える」

 中島さんは、「暮らし問題」です。

中島さんが考えた「ポスト環境問題」をあらわす言葉を掲げている写真

「自分がどういう暮らしを選択していくのかを考えるのが、環境問題の次に来るポイントではないか。そのなかで、共生とか、持続的というのがキーワードになればと思う」

 上田さんは、「幸せ Planetary Well-being」

上田さんが考えた「ポスト環境問題」をあらわす言葉を掲げている写真

「英語でいうと、planetary well-being という言葉にした。Planetaryは『地球の』という意味。Well-beingはSDGsのなかでもよく出てくる言葉で、人々の幸せという意味だ。

 人間だけではなく、ほかの生きものだとか、過去とか未来に向けての、大きな幸せという言葉を表現できないか、と思った。

 もうひとつの理由は、SDGsも限界がある。環境、経済、社会とあるが、文化が入っていないなど、見過ごされてることがあるので、少し先を見つめて、より大きな言葉として『幸せ』のような言葉が、(環境の後の言葉として)出てきたらいい」

おわりに

 最後に江守さんがしめくくりました。

 「本日参加したもらった入江さん、中島さん、若い二人はとにかく前向きだ。社会のここをよくしたいという、自分の思いがあって、それで活動しているうちに、まわりにもどんどん広がっていくということが起こっている。

 ただ、それだけで世界は本当に持続可能になるのか、という問題はもちろんある。

 広がるための仕組みが必要かもしれない。関心のない人もいつのまにか、常識がアップデートされているみたいなことが、勝手に動いた人たちの頑張りの結果としておこる仕組みだ。

 行政が、その間を調整したり、盛り上げたりすることも大事になるのではないか。

 ボトムアップなアクションを重要な要素としてとらえていくと、すごく新しい方向性が見えてくるのではないかなと考える。

 我々の研究所の名前が変わるか、環境省が幸せ省になるかはわからないが、若い二人のアクションに感染して、みなさんがなにかやってみようという気持ちになったら、今日はよかった」(終)

グラフィックレコーディングのまとめ
まとめのグラフィックレコーディングの写真

「緊張気味で始まったが、空気がどんどんやわらかくなり、参加者の熱意も感じられるいい会でした」(グラフィックレコーディング担当の方より)

[掲載日:2018年12月3日]
取材、構成、文・冨永伸夫(対話オフィス)
写真・山田晋也(地球環境研究センター 交流推進係)

参考関連リンク

●パネリストの入江さんが作成した、SDGsの映像(外部リンク)
https://www.youtube.com/watch?v=QyDqENGI6g0


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